三条市指定有形文化財「赤松遺跡出土岩偶」
写真1 三条市指定有形文化財「赤松遺跡出土岩偶」
赤松遺跡出土岩偶は、縄文時代後期末から晩期中葉の岩石を彫り込んで作った人形(ひとがた)で、全体的な形状から男性の性器をかたどっていると言われ、縄文時代の呪術的世界を物語る貴重な出土品です。
三条市指定有形文化財(考古資料) 赤松遺跡出土岩偶の概要
1 種 別
有形文化財(考古資料)
2 名 称
赤松遺跡出土岩偶(あかまついせきしゅつどがんぐう)
3 員 数
1点
4 所有者
三条市
5 所在地
三条市飯田1029番地1(三条市下田郷資料館)
6 概 要
赤松遺跡は、三条市大谷地(おおやち)字赤松に所在する縄文時代後・晩期を主体とする石鏃製作址です。赤松遺跡出土岩偶は、昭和48年5月5日、三条ジュニア考古学クラブの赤松遺跡表面採集調査時に堀川正美氏(当時三条市立第一中学校3年生)によって採集されたものです。平成30年1月に堀川氏から三条市に寄贈され、現在は三条市下田郷資料館に展示されています。
赤松遺跡出土岩偶は、縄文時代後期末から晩期中葉の岩石を彫り込んで作った人形(ひとがた)です。
頭頂部が欠けているがほぼ完形で、大きさは長さ7.56cm、幅5.09cm、厚さ1.61cm、重さ56.6gです。頭部は五角形と考えられ、脚部は胴下部に表裏からの彫り込みによって、表現されています。手や胸などの表現は見られません。
顔面は眉が浮き彫りされ、目・口などが線刻され、目の下から口の下に細かな刺突状の孔が施されている部分を中心に赤彩が見られます。胴部には線状痕が見られ、全体はよく磨かれていて、石材は褐色を呈する泥岩と考えられます。
粘土で作る土偶に対して岩石を彫り込んで作った人形が岩偶で、全体的な形状から、男性の性器をかたどっていると言われ、土偶と同じく信仰に関わる用途が考えられますが、その出土数は土偶に比べ非常に少なく、特に新潟県内では極めて希少な遺物です。縄文時代後期末から晩期中葉の呪術的世界を物語る貴重な出土品です。
この岩偶は赤松遺跡出土品の一つとして、平成28年度に認定された日本遺産「なんだ、コレは!」信濃川流域の火焔型土器と雪国の文化の構成文化財となっています。
現在、赤松遺跡出土岩偶は、三条市下田郷資料館で展示公開しています。ぜひ御覧ください。
写真2 三条市指定有形文化財「赤松遺跡出土岩偶」
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更新日:2020年05月28日