令和8年度施政方針
令和8年度施政方針全文 (PDFファイル: 354.1KB)
はじめに
本日から、来年度各会計予算案を御審議いただくに当たり、私の来年度の施政方針を明らかにし、議会を始め市民の皆様の御理解と御協力をお願い申し上げます。
未来を見据えたまちづくりには、「ひとづくり」が欠かせません。正に「ひとづくり」は「まちづくり」に直結します。私たち三条市は、昨年に人口が9万人を割り、人口減少の局面をこれまで以上に肌で感じています。そのような現在の状況であるからこそ、私たちは、未来の三条市のために「ひとづくり」を忠実かつ確実に進めていかなければなりません。
この地域のアイデンティティであり、成長エンジンでもある地場産業を発展させる人材。高齢化が更に進み、医療・介護需要がこれまで以上に高まっていく中、三条市で安心して住み続けられるための医療・介護・福祉人材。市民生活の基本となるインフラ整備、また、防災・減災といった市民の安全・安心を守るための人材。私たち三条市は、輝かしい未来のため、教育機関及び民間と協働し、「ひとづくり」をこれまで以上に進めていかなければなりません。
そして、私たち三条市は、とりわけ少子化の進行が顕著になっていることから、「ひとづくり」の基本である教育環境の更なる充実に向けて、これまで以上に踏み込んで前に進めていかなければなりません。学校の適正な学級規模を始めとした「ひとづくり」に重要な教育環境が維持できない状況を打開するため、私たち三条市は、このまちの義務教育環境について、様々な観点から検討を進め、これからのまちを担う「ひとづくり」の環境整備に既に取り組んでおり、来年度も引き続き進めてまいります。
また、新潟県は、新潟県立新潟県央工業高等学校と新潟県立三条商業高等学校の統合の検討を進めています。高等学校は、地域の子どもたちの教育の場であるのみではなく、まちの活力に直結する重要な存在です。統合される県立高等学校の立地自治体として、地域の声を届ける必要があることから、これまで地域の産業界、学校関係者等16団体からなる懇談会において意見を集約してまいりました。今後は、地域の要望の実現に向け、県へ要望書を提出するとともに、引き続き県の検討の場へ参画するなど、地域の声を届けてまいります。
私が常々申し上げているように、学校の統合は少子化に伴う後ろ向きなものではなく、むしろ、子どもたちの教育環境をいかに充実させていくか、それに伴いまちづくりをどうしていくかを、市民の皆様と考えていくための前向きな機会です。
私たち三条市で人が育ち、人が集まる好循環を生み出すとともに、物価高騰対策や防災・減災といった市民生活の安全・安心の確保など、これら各般にわたる課題解決につきましても、決して歩みを止めることなく、全力を挙げて取り組み、市民の皆様と共に、私たち三条市の明るい未来を描いてまいります。
このような思いの下、来年度においても、私たち三条市を更に選びたくなるまちにしていくため、積極果敢に各種の施策を展開してまいります。
物価高騰に対する支援

将来に向けた希望ある「まちづくり」を着実に進めていくためには、まず何よりも市民の皆様の今の暮らしが安定的であることが不可欠です。エネルギー価格や食料品価格を始めとした物価の高騰を背景に、生活が苦しいと感じている世帯が全国的に増加しております。私たち三条市においても、市民の皆様から物価高騰により生活が苦しいという声が届いています。こうした負担を軽減するため、全世帯や事業所を対象に水道料金の基本料金を6か月間にわたり減免してまいります。
また、子育て世帯の負担軽減のため、小学校、中学校及び義務教育学校の学校給食費の無償化を来年度1年間実施するとともに、保育所等においては食材価格上昇分の公費負担を継続してまいります。くわえて、子育て支援事業の一つであるサンキッズカードについて、これまで18歳未満の子どもを3人以上養育する保護者に限定していた対象者を、協賛店の皆様から御協力いただき、妊婦及び18歳未満の子どもを1人以上養育する保護者へと拡充いたします。あわせて、カードを電子化し、利用者の利便性向上を図ってまいります。
このほか、国の交付金を活用し、中小企業の賃上げ環境の整備に向けた先端設備の導入や、労働環境の改善に対する支援を行うなど各般にわたる取組も速やかに実施してまいります。
子どもが健やかに育つ環境づくり

乳幼児、小学生、中学生という各期間において、少子化が加速し、グループ学習や集団での教育活動などについて、地区によっては将来その継続が困難となる状況が懸念されます。そのため、社会性や協調性などの子どもたちの能力や資質の育成に影響が出ないよう、時代の変化に即した適切な教育・保育環境の形成に重点的に取り組んでまいります。
また、特別な支援が必要な子どもたちは波があるものの緩やかに増加しており、児童発達支援などの福祉サービスの必要性は依然として高い状況が続いています。そのため、特別な支援が必要な子どもの状態に応じた支援体制の強化に重点的に取り組んでまいります。くわえて、特別な支援を必要とする子ども本人への支援だけではなく、家族の負担軽減のための支援にも重点的に取り組んでまいります。
下田地域において児童数の減少が著しい中で、子どもたちのより適切な学習集団の規模を維持する方策を検討するために、今年度、しただの郷未来の学校設置準備委員会を設置しました。委員会では、統合の時期や統合校として活用する校舎、統合時の小中一貫教育の形態などを検討しました。私たち三条市は、その検討結果を踏まえて、統合校として活用する校舎を飯田小学校の校舎としました。来年度においては、飯田小学校の改修を進めるとともに、学校行事や教科指導といった教育課程、保護者・地域・学校の協働組織、通学路やスクールバスなどに関して更なる検討を重ね、令和10年4月の開校に向けた準備を進めてまいります。
少子化が加速する中で、その影響がいち早く現れる子どもの保育環境も検討していく必要があります。
保育所や保育園などは子どもたちが初めて集団生活をする場であり、社会的なスキルや対人関係を身に付ける大切な場です。入所児童数の減少は、そうした子どもたちの集団の形成に対しても影響を及ぼすことが懸念されます。
また、保育人材はしっかり確保してきているものの、限られた人的資源の中で、特別な支援を必要とする子どもたちに対する保育所等での支援も充実させていかなければなりません。
そこで、将来にわたって安定的かつ質の高い保育環境を維持・向上させていくため、保育所等の在り方の検討を進めてまいります。
特別な支援が必要な子どもたちへの支援体制については、個々の発達特性に応じた専門的な療育支援や相談支援の一層の充実も課題となっております。そういった子どもたちの健全な発達を支えるため、技術的な助言を実施する地域の中核機関として、児童発達支援センターを新たに開設し、地域全体の支援力の一層の向上を図ってまいります。
くわえて、日常的に医療的ケアを必要とする子どもたちの家族への支援も拡充いたします。家族が一時的に子どもの看護から離れ、心身共に休息できる時間を確保するため、看護師常駐の下で安全に医療的ケア児を預かる子どもの日中一時支援事業を開始します。
持続可能で個性的な地域産業の振興

持続可能な地域産業の振興を実現するためには、人口減少や物価高騰などの環境の変化に直面する中にあっても、限られた資源を最大限に活用し、地域資源の磨き上げや新しい技術の導入、販路拡大などの多角的な取組を進めていかなければなりません。また、地域における産業は、雇用の創出や観光への結び付きなど、地域経済において重要な役割を果たしており、自分たちの住むまちをより良く、誇れるものにしていこうという地域への愛着を支えるといった側面もあります。
この地域のものづくりの高い技術力は、先人たちから受け継いできた技と、時代に即して革新を続ける柔軟性によって支えられてきました。一方で、全国的な傾向に漏れず、私たち三条市においても、物価高騰や国際情勢の不安定化、人手不足による担い手の確保などが課題となっています。ものづくりのまちとしての持続可能性を確保するためには、このような厳しい状況にあっても、未来に向けて新しい挑戦をしようとする市内事業者に対して支援を講じていく必要があります。
中小企業の賃上げを実現するためには、業績向上が不可欠です。将来を見据え持続的な成長を期して海外に活路を見いだそうとする企業の挑戦を促すため、海外における市場調査や展示会への出展などに取り組む企業への支援を行ってまいります。また、企業が限られた人員で業績を上げるには、労働生産性を高めていくことも肝要です。これまでに行ってきた企業のデジタル化に資する支援を継続しつつ、設備投資を通じた生産性の向上を促すため、先端設備を導入する際の経費の一部を新たに支援してまいります。
さらに、中小企業におけるエネルギー価格高騰の負担を緩和するため、夏場の常態化する異常な暑さを緩和する工場等の遮熱、断熱対策への支援を継続することに加え、省エネルギー化に資する高効率の空調設備や照明設備の導入に対しても支援を行ってまいります。
地域資源の活用は、単に経済を活性化させるだけでなく、地場産業の発展や、地域住民の誇りと地元への愛着を醸成するといった面でも、持続可能なまちづくりの原動力となり得ます。
開通が目前となる国道289号八十里越もまた、私たち三条市の観光を牽引する存在となり得るものとして、その新たな観光需要に大いに期待を寄せております。この開通をまたとない好機と捉え、皆様が開通の喜びと経済効果を最大限に享受できるよう、私たちは万全の準備を行わなければなりません。これまで県内外問わず様々な場に出向き、関係自治体と連携しながら八十里越の開通に向けてプロモーション活動を展開してまいりましたが、北関東圏における私たち三条市の知名度はまだ発展途上です。そのため来年度は、一層の機運醸成と更なる認知度向上を図るため、ターゲットに応じた戦略的な情報発信に注力してまいります。具体的には、八十里越を象徴する5号橋梁でのバンジージャンプや、関係自治体との連携による物産、食のイベントを開催するなど、県境を越えた住民交流を促進してまいります。
また、八十里越開通後には、下田地域が新潟県側の新しい玄関口となります。下田地域が単なる通過点とならないよう、道の駅 漢学の里しただの道の駅機能をいい湯らていに移転し、地域住民と来訪者が憩い、触れ合える場となるよう、令和10年初夏から初秋の供用開始を目指して八十里越交流拠点エリア整備を進めてまいります。
豊かな自然の恵みから育まれた農産物もまた、この地域が誇る大切な資源です。一方で、農業者の高齢化や担い手不足など農業者を取り巻く課題が多岐にわたる中で、追い打ちをかけるように、近年では野生動物の出没が増加傾向にあり、農作物被害が更に拡大することが懸念されます。特に今年度は、サルやイノシシによる農作物被害に加え、クマの出没情報が140件を超え過去10年間でも最多となり、人身被害への懸念が高まりました。これらに対応していくためには、行政と猟友会、そして地域住民との連携が不可欠です。私たち三条市は、これまでも猟友会等と連携しながら鳥獣被害対策を講じてまいりましたが、被害防止体制の強化と年間を通じた活動を一層推進するため、有害鳥獣の捕獲や被害対策に資する事業の計画調整などを行う鳥獣被害対策専門員を配置してまいります。さらに、サルの被害対策として、GPS首輪により群れの位置を把握するシステムを導入するほか、遠隔で監視や捕獲操作が可能なリモート大型檻といったICT機器の活用を進めてまいります。
また、捕獲鳥獣を、食用、いわゆるジビエとして活用することも地域産業の発展に寄与するものと捉えています。ジビエ活用に向けた捕獲を促進するため、三条市商工会、地元猟友会等の関係団体と共に、捕獲鳥獣の解体処理場の確保など、ジビエ活用に向けた検討会議を実施してまいります。
健康で心豊かに暮らせる環境づくり

2040年にかけて少子高齢化が更に進み、医療・介護需要の一層の増加が見込まれる一方、これらを支える人材の確保はますます困難になっています。医療や介護が必要な状況になっても、担い手がいなければ必要なサービスを受けることはできません。サービス提供体制を将来にわたって維持していくためには、人材の確保と定着が不可欠です。
あわせて、市民一人一人ができる限り健康で、自立した生活を長く続けていただくことも極めて重要です。このため、私たち三条市では医療・介護人材確保の取組に重点を置きながら、健康づくりや介護予防の取組も一層推進してまいります。
当市の人口推計では、令和14年度から85歳以上の高齢者が急増する見込みとなっており、この頃には、85歳以上で要介護認定を受けている方の割合が約6割に達すると想定されます。複数の疾患を抱え定期受診の必要性が高くなる方や、介護が必要な方の増加により、在宅医療を中心とした地域医療の役割が一層重要となります。そこで、準無医地区である下田地域の医療提供体制を維持するため、タブレット端末を持った看護師が患者宅や集会所に出向き、医師が医療機関からオンラインで実施する診療をモデル的に実装し有効性を検証してまいります。そのほか、引き続き、新潟県及び福島県只見町と連携した医学部地域枠の学生に対する修学資金の貸与による医師確保や、諸橋轍次博士奨学金の看護職員奨学金の貸与及び看護師等就業・移住支援金の支給による看護師確保に取り組むとともに、医療依存度の高い高齢者を支えるため、医師会と共に在宅医療を支える医師の協力体制の在り方の検討を進めることで、持続可能な地域医療体制の確保に努めてまいります。
今後、更に急増する高齢者の生活を支えるためには、介護サービスを担う人材の確保も重要課題として取り組んでいかなければなりません。これまで進めてきた介護職員の離職防止や定着に向けた働きがいのある職場環境づくりに加えて、外国人職員の雇用を支援するため、交通費や日本語学習の費用に対する補助制度を創設し、地域に根付いて働き続けられる体制の構築を進めてまいります。さらに、介護現場へのICT・IoT活用を促し、記録業務の効率化や情報共有の円滑化を図ることで、職員の負担軽減と働きやすい職場環境づくりを進めます。これらの取組を通じて、介護人材の定着と確保、業務の効率化を一体的に進め、安定した介護サービスが提供できる体制の構築に取り組んでまいります。
全ての人の尊厳を守るまちづくり
人口減少と少子高齢化が同時に進む中、核家族化や地域のつながりの希薄化などにより、支え合いの基盤が弱まっています。このような中、個人の尊厳を尊重し、誰もが役割と居場所を持ち、安心して暮らし続けられる「地域共生社会」の理念に基づき、支援する人とされる人に分けることなく、誰もが地域の一員として支え合う関係を築くことが、持続可能な地域づくりであると考えています。
今後、更なる高齢化が進み、85歳以上の高齢者が増加することで、認知症の方が一層増加することが見込まれます。認知症になっても自分らしく希望をもって暮らし続けられる社会を目指す「新しい認知症観」に基づき、新たに「認知症施策推進計画」を策定してまいります。認知症の方や家族、医療・介護関係者、地域の支援者等との対話を重ねながら、日常生活における具体の課題や必要な取組を整理し、医療や介護に加え、買い物、就労、地域活動など生活全体を支える視点から、誰もが暮らしやすい環境づくりを進めてまいります。
また、認知症の方の増加によって、成年後見制度への需要が高まることが見込まれる中、その受け皿となる後見人の確保は急務となっております。今年度開設した三条市成年後見支援センターにおいて実施した権利擁護支援者養成講座を修了された3人の市民の方が、令和8年度から新たに法人後見支援員として活動を開始します。今後も、同センターを核として法人後見支援員を養成するとともに活動の支援をすることで、市民と協働した権利擁護の推進と安定的な制度利用を支える体制の確保に努めてまいります。
住み良い地域づくり

住み良い地域づくりには、人が生き生きと暮らし続けるためにまちの活力が向上し、景観や治安が保たれた安心して生活できる環境が大切です。
施設入居で居住者が不在となった建物や相続放棄され所有者不明となっている建物等の増加を背景に、私たち三条市における空き家は年々増加しています。これらの空き家が適切な管理をされずに放置されることにより、防災・防犯、衛生、景観等の面で様々な影響を及ぼすおそれがあり、その対策は急務となっています。この課題に対し、新たに相続放棄による所有者不明空き家等の売却を促進するために、対象物件の買取希望者を見付ける体制の構築に取り組んでまいります。
また、地域のコミュニティを持続させるためには、この地域に移り住み、定着する方を増やしていくことが重要です。移住者の確保と定着を更に促進するため、移住定住に係る支援を拡充してまいります。具体的には、当市に移住した婚姻から2年以内の新婚世帯等が住宅を購入し、又は新築する際の費用を支援していたものを、婚姻時期によらず、転入者がいる39歳以下の世帯に拡充します。
災害に強いまちづくり

近年、気候変動の影響により激甚化する水害や、突発的な発生が懸念される大規模地震への備えは、市民の皆様の生命と暮らしを守り抜くための重要な課題の一つです。水害の疑似体験などを通じて市民の防災意識の向上を図ることを目的とした水防学習館が、昨年12月、国が地域で発生した災害の状況を分かりやすく伝える施設などを認定する「NIPPON防災資産」に選定されました。この認定は、同館の機能だけではなく、私たち三条市がこれまで行ってきた防災関連の取組が評価された結果と捉えており、今後とも水害の経験や記録をいかし、将来の災害に備える取組を行ってまいります。
まず、自助の取組として、市民の皆様が確かな判断の下で避難行動を起こせるよう、これまで水害、震災、原子力災害と各種別ごとに分かれていた情報を1冊に集約した総合防災ガイドブックを作成いたします。災害や避難方法、日頃の備えについての基礎知識や当市の取組などを分かりやすくまとめ、一人一人が自分の命を自分で守るための実効性のあるものとして活用を促してまいります。あわせて、各主体と連携した防災訓練を引き続き実施し、市民の皆様が個別最適な避難行動を選択できるよう、地域防災力を着実に高めてまいります。
一たび災害が発生すると、やむなく自宅を離れ、避難所生活を強いられることもあります。そのため、避難所環境の整備は、避難者の心身の健康を守るために極めて重要です。過去の災害の教訓を踏まえ、一時的な避難所生活の質の向上に向けた備蓄の強化をしてまいります。
ハード面においては、内水被害の軽減に向け、局地的な大雨などにより道路冠水が起こりやすい地区の排水路整備事業について、早期に事業効果が発揮できるよう着実に進めてまいります。
令和8年度予算案の概要
令和8年度の当初予算編成に当たっては、昨年に引き続き高水準となった人事院勧告に伴う人件費の増加や、終わりの見えない物価高騰による経常経費の増加などにより厳しさを増す財政状況の中、国の交付金を活用し、物価高騰の影響を受けている世帯等への支援を行うほか、これまで確保してまいりました財源を活用するとともに、枠配分方式による予算編成等により事業の見直しを行いながら、総合計画に掲げた子どもが健やかに育つ環境づくりや持続可能で個性的な地域産業の振興などに重点的に予算を配分しました。
この方針に基づき、一般会計予算案は、総額を538億8,500万円、対前年度比では19億200万円、3.7パーセントの増としました。
主要な財政指標につきましては、今年度決算見込みと比較して、経常収支比率は、4.5ポイント高い101.8パーセント、実質公債費比率は、1.2ポイント低い12.6パーセント、財政調整基金残高は、物価高騰や人件費の増加などの影響により、約13億円減少し、約111億円となるものと見込んでいます。
物価高騰が続くとともに、社会保障関係費や人件費の増加が見込まれることから、今後の人口減少や税制改正等も見据え、引き続き行財政改革に取り組みながら、健全財政を維持してまいります。
国民健康保険事業特別会計予算案は、総額を80億1,220万円としました。物価の高騰が続く中で、可能な限り被保険者の負担増を抑えつつ、安定的に運営できるように、令和8年度の国保税率は、子ども・子育て支援金制度の創設に伴う増額相当分について、財政調整基金を活用し、医療保険分税率を引き下げることで、全体として前年度並みの税率となるよう改正を行います。引き続き、特定健康診査の受診を促進するとともに、生活習慣病の発症予防、重症化予防に重点的に取り組み、被保険者の健康の維持増進に努めてまいります。
後期高齢者医療特別会計予算案は、総額を17億3,720万円としました。引き続き、被保険者の健康の維持増進と介護予防を図るため、本医療保険制度の加入前の段階も含めて、一体的に事業を実施してまいります。
介護保険事業特別会計予算案は、総額を109億4,130万円としました。今後の後期高齢者人口や要介護認定者の増加を見据え、介護サービス提供基盤堅持のため、引き続き人材確保に向けた取組を進めるとともに、通所型サービス事業の見直しなど、介護予防や自立支援に資する取組を進めてまいります。
水道事業会計予算案は、収益的支出を21億6,660万6千円、資本的支出を13億6,449万6千円としました。人口減少等により料金収入が減少する中、将来にわたり安定的に事業を継続していくための中長期的な経営戦略である「水道事業ビジョン」に基づき、配水管の布設替えによる水道管路の耐震化を着実に進めるなど、安全・安心な水道水の安定供給に取り組んでまいります。
下水道事業会計予算案は、収益的支出を28億5,354万円、資本的支出を27億2,612万3千円としました。汚水については、接続率の向上に努めるとともに、効率的な事業運営に向けて施設の統廃合を進めるほか、計画的な改築更新により適切な維持管理に努めてまいります。雨水については、引き続き幹線管渠の改築を着実に進め浸水被害の軽減を図るとともに、将来を見据えた施設の長寿命化対策に取り組んでまいります。
次に、これまで申し上げてきたもののほか、来年度の主な事業について説明を申し上げます。
総務・文教関連施策

まず、総務・文教関連施策です。
市民ニーズの多様化が進む中、過度なコストをかけずに行政サービスを持続的に提供し続けるためには、業務効率化が不可欠です。このため、生成AIを導入し、事務作業等の時間を短縮することで、職員がきめ細かな窓口対応や政策立案といった本質的な業務に注力できる体制を構築いたします。
また、国が進めている母子健康手帳の電子化を見据え、アプリを通じて、母子の健康管理を容易にするほか、妊娠期から子育て期までに必要な情報をタイムリーにお知らせするなど、利便性を向上してまいります。
ふるさと三条の未来を担う人材を地域ぐるみで育むことを目的とした三条キャリア教育バンクのシステムについて、教育現場と産業界の連携を一層強化し、効果的なマッチングを生み出していくため、学校と事業者のニーズを一元的に集約し、把握・共有が容易となるウェブサイトを構築してまいります。
市民・福祉関連施策

次に、市民・福祉関連施策です。
高齢者と障がい者を支援する福祉事業者に対し、支援金を交付することにより物価高騰の中においても施設等のサービスの質の確保及び業務継続ができるよう支援してまいります。
障がい者支援の推進については、介護サービス包括型グループホームの施設整備を支援することで、障がいの状況や希望を踏まえ、ライフステージ全体で切れ目のない住まいの支援が行われるよう、居住の場の確保を図ってまいります。
一般廃棄物最終処分場に埋設される不燃ごみの中には、ガラス片や陶磁器片が含まれており、最終処分場の埋立容量を圧迫する一因となっています。そのため、収集した不燃ごみのガラス片等を専門業者へ引き渡すことで、最終処分場の長寿命化を図ってまいります。
スポーツ環境の充実に向け、引き続き、総合運動公園の多目的広場のうち一面の人工芝化及び市民球場のスコアボード改修を進め、令和9年4月の供用開始を目指します。
経済・建設関連施策

最後に、経済・建設関連施策です。
市内事業者と三条市立大学との関係性をより強固にするとともに、ものづくりの未来を担う人材の育成と研究開発のノウハウの蓄積を図るために、三条市立大学と共同で研究開発に取り組む事業者に対する支援を新たに開始してまいります。
さらに、人材確保を始めとする課題の解決に向け、今年度発足した「三条の人事部コンソーシアム」を通じ、高校生が地域への理解を深め、その魅力を発見しながら自らのキャリアを考える機会として取り組む探究学習に対する支援や、人にまつわる取組の協同化のために産学官を含めた様々な関係者との対話機会の創出など、地域一体での取組を継続してまいります。
インバウンド観光については、新潟空港との直行便があり、かつ、地場産品を目当てとした旅行者が多い台湾をメインターゲットとし、これまで行ってきた現地イベントへの出展等に加えて、現地旅行会社等に対して市職員に代わり常時観光情報や旅行商品のセールスなどを行う観光レップを設置し、インバウンド誘致の取組を加速させてまいります。
また、観光で稼ぐという意識を醸成しつつ、市内事業者同士のネットワークを構築し、受入体制などの課題を解決するための勉強会を実施してまいります。
農業の振興については、引き続き経営規模の拡大や収益性の高い作物への転換を図る農業者を支援するとともに、果樹農業においては、果樹栽培の専門家による指導の下での栽培技術の習得に向けたインターンシップ事業を行い、新たな担い手確保及び果樹作物の生産量維持に努めてまいります。
道路ネットワークの強化については、交通の円滑化に資するよう、都市計画道路田島曲渕線や上須頃262号線等の市道の整備を着実に進めるとともに、国道403号三条塚野目道路や国道289号バイパス(仮称)石上大橋下流橋建設については、引き続き早期着手に向けて各種期成同盟会を通じて関係機関に対し働き掛けてまいります。
道路等の維持管理に精通した人材の減少が見込まれる中において、迅速かつ効率的な除雪体制を構築するために、デジタル技術を活用した積雪状況監視・自動通報システムを導入し、従事者の負担軽減を図ってまいります。
おわりに
少子高齢化や物価高騰など、私たちを取り巻く環境は決して平坦なものではありません。しかし、こうしたときだからこそ、市民の皆様の今の暮らしをしっかりと支えつつ、未来への種まきである「ひとづくり」を始めとした各種の政策に果敢に挑戦していくことが、私の使命であると確信しております。本日申し上げました施策の一つ一つを着実に実行し、市民の皆様がこのまちで暮らすことに安心と誇りを感じられるよう、市政運営に邁進してまいります。
何とぞ議会の皆様の御理解と御協力をいただき、御決定を賜りますようお願い申し上げます。
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更新日:2026年03月02日