三条市指定有形文化財「静照院釈迦堂」

静照院釈迦堂 外観 南より(田村収氏撮影)

 静照院釈迦堂 外観 南より(田村収氏撮影) 

  静照院釈迦堂は、柱間が5.55 尺で方一間の建物で、屋根はかつては茅葺(かやぶき)でした。柱間装置は正面である南面に開き戸の唐戸(からど)を設け、他の3 面は竪板張(たていたばり)としています。内部背面に造付けの壇が柱間一杯に設けられ、ここに禅宗様(ぜんしゅうよう)の厨子(ずし)を配し、内部に釈迦像(しゃかぞう)が納められています。禅宗様の特色をよく示す建物で、彫刻絵様(ちょうこくえよう)などからみて、建築年代は江戸時代前期にさかのぼる可能性が高いと考えられます。

三条市指定有形文化財「静照院釈迦堂」の概要

1 名称

    静照院釈迦堂(じょうしょういんしゃかどう)

2 員数

    1棟

3 指定年月日

    平成24年5月28日

4 所在の場所

    三条市北四日町

5 所有者

    宗教法人静照院

6 構造及び形式並びに高さその他大きさを示す事項種類

    方一間、方形造、銅板葺。柱間5.55 尺。       

7 建築の年代又は時代

    江戸時代前期

8 創建及び沿革

    静照院に伝わる棟札の写しによれば、この釈迦堂はもとは法華宗陣門流総本山本成寺の堂宇であり、宝暦12(1762) 年に、現在は本成寺多宝塔の建  つ場所にあったものを静照院に移築してきたとされています。組物の中備などに残る彫刻絵様などからみて、建築年代は江戸時代前期にさかのぼるものと考えられます。     

9 むな札、墨書その他参考となるべき事項

   釈迦堂の屋根は、第2次世界大戦後まで茅葺の形式であったものを現状の銅板葺に改めたものです。

10 説明

    静照院釈迦堂は南面する小規模な建物で、柱間は5.55尺で方一間の規模を有しています。屋根は現在、方形造の銅板葺ですが、かつては茅葺でした。

     柱間装置は正面である南面に開き戸の唐戸を設け、他の3面は竪板張としています。内部は1室の構成であり、背面の北側に寄って2尺幅程の規模となる造り付けの壇が柱間一杯に設けられ、ここに禅宗様の厨子(ずし)を配しています。厨子は二重に装置されており、内部に釈迦像が納められています。

    軸組は基礎の上に幅0.6尺、高さ0.4尺の井桁の土台を廻しています。柱は円柱で径0.5尺、高さ5.15尺で、上部にのみ粽(ちまき)を有し、天端は径0.4尺となっています。4本立つ柱は正面を除く3方に腰貫(こし ぬき)、外部の腰長押(こしなげし)、内法貫(うちのり ぬき)、外部の内法長押(うちのり なげし)、頭貫(かしら ぬき)を配し、頂部は頭貫、台輪(だいわ)で固めています。

    組物は四隅の柱上に大斗(だいと)、枠肘木(わくひじ  き)、巻斗(まきと)、実肘木(さね ひじき)とする三斗組(みつどぐみ)の構成です。柱間に一組ずつ配される中備(なかぞなえ)は詰組(つめぐみ)で、大斗に枠肘木と拳鼻(こぶしばな)、巻斗、実肘木としています。なお、組物、中備とも外部のみを作る片蓋の構成で、いずれも内部から和釘止めとするが、隅部では内部から角材の宛木を用いています。

    屋根は方形造銅板の一文字葺で、勾配は8/10程で頂部に宝珠(ほうじゅ)を掲げています。軒は一軒の扇垂木(おうぎ だるき)で各面に32本の垂木を配しています。茅負(かやおい)は両端で部材高さ分が反り上がるいわゆる一本反の形状を呈しますが、建物が小規模であるために鋭い曲線の印象を与えています。

    静照院に伝わる棟札(むな ふだ)の写しによれば、この釈迦堂は本成寺の堂宇であったものを、宝暦12(1762) 年に、現在は本成寺多宝塔の建つ場所にあったものを移築してきたとされています。

    釈迦堂は禅宗様の特色をよく示す建物で、正面柱間装置等が改造を受けていますが、組物中備などに残る彫刻 絵様(ちょうこくえよう) などからみて、建築年代は江戸時代前期に遡る可能性が高い建物です。これを宝暦12(1762)年に本成寺から曳家により移動されたものと推察され、歴史的建造物として価値は高いものです。

 

静照院釈迦堂 内部 南より(田村収氏撮影)

静照院釈迦堂 内部 南より(田村収氏撮影)

静照院釈迦堂 柱間に配される中備(田村収氏撮影)

静照院釈迦堂 柱間に配される中備(田村収氏撮影)

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更新日:2024年09月27日