新潟県指定有形文化財「絹本著色日現像・絹本著色絵曼荼羅・絹本著色小絵曼荼羅」

けんぽんちゃくしょくにちげんぞう

絹本著色日現像

けんぽんちゃくしょくえまんだら

絹本著色絵曼荼羅

けんぽんちゃくしょくしょうえまんだら

絹本著色小絵曼荼羅

新潟県指定有形文化財「絹本著色日現像・絹本著色絵曼荼羅・絹本著色小絵曼荼羅」の概要

 

1 名称

   絹本(けんぽん)著色(ちゃくしょく)(にち)現像(げんぞう) 絹本(けんぽん)著色(ちゃくしょく)()曼荼羅(まんだら) 絹本(けんぽん)著色(ちゃくしょく)小絵(しょうえ)曼荼羅(まんだら)

2  員数

   3幅

3 指定年月日

   令和3年3月26日

4 所在の場所

   三条市西本成寺1丁目1番20号

5 所有者

   宗教法人 本成寺

6 種類

   絵画資料

7 品質及び形状

   日本画、軸装

8 制作の年代又は時代

   室町時代(日現像は1501年)

9 作者

   榶崎景良

10 概要

    法華宗陣門流総本山である本成寺が所蔵している軸装の絵画3幅です。

    日現像は本成寺8世日現(1459-1514)の寿像です。大きさは縦91.1cm、横40.6cmです。画面右下に「愚影四十一寿像也中納言日珠為願主榶崎景良筆也」、左下に「明応十稔辛酉正月廿六日」と墨書があり、絵師が榶崎景良、願主が中納言日珠、制作年が明応10年(1501)正月と判明しました。榶崎景良は、筆致から肖像画を得意とする人物と推測され、発色の良い絵の具で微妙な色彩表現をする点から、京周辺で活動した絵師の可能性があります。日現像は制作年・筆者・願主が判明する基準作として価値が高いです。

    絵曼荼羅は、大型(縦85.2cm×横40.9cm)の絵曼荼羅と小型(縦39.9cm×横21.9cm)の小絵曼荼羅があります。いずれも日現の本尊論に則り二仏並座(にぶつびょうざ)で描かれます。二仏の上方に宝塔が描かれない京都系の法華宗の特徴を有し、花押や墨書きから日現の所有品と考えられます。

    絵曼荼羅は画面上部中央に「南無妙法蓮華経」の題目が書かれ、その下に釈迦如来と多宝如来の二仏が並座で画面幅一杯に描かれます。二仏は蓮池から伸びる茎の上の蓮華座に合掌結跏趺坐(がっしょうけっかふざ)し、台座の前面に4体の蓮華座上立像菩薩、その手前に不動明王(右)と愛染明王(左)が描かれます。四周には左下から右回りに増長・多門・持国・広目天の順で四天王が描かれます。この四天王の配置としては例のないものであり、そのため4像とも画面の外を向く点が本図の特徴となっています。各像は金泥線で括り華やかに表現されています。 画面下部中央に日現の署名と花押があります。

    小絵曼荼羅は、箱書きに「両尊四菩薩御影 現師」とあり、日現所有の絵曼荼羅と伝わっています。金字の「南無妙法蓮華経」と二仏並座の釈迦如来と多宝如来、4体の蓮華座上立像菩薩のみが描かれる簡素な構図となっています。色遣いは、身色の金、光背の周囲、六角台座周囲以外に金を用いない地味なものとなっています。画面下には日現と近しい人物と考えられる名前があり、中央六角台座下に「師匠日秀」、左白雲下に「慈父日恵」「慈母妙袋」、右白雲下に「養母妙祐」「養父乗祐」と書き込まれています。画面余白部分は蝋燭の煤で黒くなっており、よく使われたことを示しています。公的な場での使用が考えられる絵曼荼羅に対し、本図は日現の個人用絵曼荼羅といった使い分けが考えられます。

    3幅は日現ゆかりの絵画であり、色彩感覚の共通性からいずれも日現像の墨書にある榶崎景良の作と推測されます。日現の活動や本成寺の宗教行事を考える上でも貴重です。

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更新日:2021年06月14日