平成31年度施政方針

はじめに

    本日から、来年度各会計予算案を御審議いただくに当たり、私は、来年度の施政方針を明らかにし、議会を始め市民の皆様の御理解と御協力をお願い申し上げる次第であります。

    間もなく「平成」という時代が幕を下ろします。このことは、今上陛下の退位に伴う儀礼の一環にとどまることなく、ひとつの時代が終わり何かが実際に変わっていく、そんな節目になっていくのだと私は強く感じずにはいられません。

 

    思えば、平成は我が国の社会の成熟に伴い、様々な分野で多様化が進んだ時代でした。その変化は、経済分野では、大きな市場を宿命的に求め続けなければならない大企業に代わって、変化の速い小さなニーズを機動的に拾い続けることのできる中小企業の時代をもたらし、それらを活力の源とする地方都市の地位を相対的に高めてきました。

    こうした大企業よりも中小企業、大都市よりも中小地方都市という追い風の中で、このまちのアイデンティティを形作るものづくりは恒常的な盛況を呈し、さらに地域の活力を端的に示す人口動態はほぼ全ての世代で改善を見せるなど、前向きな動きが随所に見られるようになっています。

    しかし、新たな時代に追い風が吹くとは限りません。

    ソーシャルメディアの普及を始めとする加速度的なコミュニケーションの拡張は、情報の送り手と受け手の垣根を更に取り払っていきます。その結果、情報の独占によって存在意義を保つような行政は価値を失い、にわか仕込みの施策は直ちにその空虚さを看破される、そんな時代がやってくると私は考えるのです。

    これまで以上に的確にニーズを捉え、それらを基に施策を練り上げ、なされた評価に真摯に耳を傾けながら不断の改善を図っていく、無数の個人が能動的な参加者として自らの体験を広範囲に共有するような時代だからこそ、行政の分野においても、上辺を取り繕うことなく施策の本質を磨く努力を重ねることが格段に重要となっていきます。

    他方、時代の画期を迎える中にあっても私たちが変わらず大切にし続けなければならないものがあります。

    そのひとつが、行政の担い手としての矜持、すなわち「有能さ」「頼りがい」「正直さ」がもたらす市民からの「信頼」です。

    新たな時代に真摯に向き合い、信頼を得る道を愚直に模索し続けることが、結果として新たな時代を切り拓く力を私たちに与え、このまちに持続可能性をもたらしていくと考えるのです。

    この思いの下、ふたつの時代が交わる節目であり、奇しくも総合計画後期実施計画の初年度という行政運営にとっての節目でもある来年度、このまちのデザインを描き切るべく、新たな時代への最初の一歩を、そして平成最後の一歩を着実に踏み出してまいります。

処方箋その1 このまちの基礎体力を向上させる〜ライフステージごとに基礎体力を高め、まちの魅力を向上〜

教育・子育て政策の更なる展開

    時代に合った形で、子どもたちに「生きる力」を育むため、全国に先駆けて取り組んできた三条市の小中一貫教育は、今年度、取組開始から10年を経たことで、また全ての小中学校が学園制に移行するなど、基本的な運営体制が整ったことで名実ともに節目を迎えました。

    来年度からは、これまでの積み上げを基礎としながら小中一貫教育の価値を更に高める取組を進めていくことが必要です。

    9年間の学びの系統性、連続性を担保する小中一貫教育カリキュラムは、これまで日々の実践の中で恒常的に改善を図ってきましたが、今後実施される学習指導要領の改訂に合わせ、子どもの学習意欲を一層高めるものに、また学園の実態や特色などを踏まえたものに更に洗練、深化すべく全ての教科について見直しを行ってまいります。

    また、世界の教育現場では、ICTの活用によって学びの環境が革新され始めています。自らの興味に基づき、試行錯誤を繰り返すことでより多くのことを学べるといったメリットなどを念頭に、これからの時代における教材、教育方法の在り方に関する研究を進めてまいります。

    他方、かつて自主性や創造性、社会性などを育む上で、重要な役割を果たしていた「みんなと自由に遊ぶ体験」を今日の社会環境に適した形で子どもが得ることができるよう、まずは放課後の学校を活用した遊び場を開設するとともに、地域の公園や集会所といった身近な空間の活用についても検討を進めてまいります。

「ものづくりのまち」の更なる深化

    このまちのアイデンティティであるものづくりは、昨年のジャパン・ハウスロンドンでの企画展などを通して広く海外にも知られるようになってきました。

    このものづくりを更に磨き上げ、持続可能性を確かなものとするためには、やはり価格決定力を追求し続けなければなりません。

    そこで、最終製品系企業にあっては、引き続きコト・ミチ人材の育成、活用を通じて各企業の技術力等を拠り所とした独自の世界観の展開などを支援し、ニッチトップ企業の輩出に努めてまいります。

    一方、部品加工系企業にあっては、リアル開発ラボ事業においてよりきめ細かく企業間連携を支援するとともに、専門家の指導の下、個々の企業が有する要素技術を結び付け、相互を綿密に調整することを通じて「すり合わせ型」のものづくりを更に洗練していくなど、ニッチ市場への進出に向けた課題の分析、解決などを広範に図っていくニッチ分野進出支援事業に取り組んでまいります。

    そこで私たちが想像すらしない、時代の潮流を捉えた何かを見据えている方々とこのまちが有する高い技術力を始めとした経営資源を有機的に結び付けることによって革新的な事業の創出を図る新産業起業家等育成支援事業を新たに展開してまいります。

    さらに、ものづくりのまちとしての地位を継続的に高めていくためには、新たな経済的付加価値を生み出す環境を整えつつ、そうした進取果敢なイメージを広めていくことが重要です。

    また、活況を呈しているこのまちの経済の足枷になりかねない人手不足に対処するため、独自の求人情報発信ウェブサイト「三条おしごとナビ」を着実に運用するほか、インターンシップを核に学生と市内企業の交流の促進、相互理解の深化を図る仕組みを構築するなど、移住や転職の予備軍ともいうべき方々が三条市に興味、関心を持ち、実際の行動へとつなげていただけるような働きかけを行ってまいります。

健幸都市への更なる挑戦

    意識しなくても健幸に暮らし続けられる環境を作っていくため、これまで外出を誘引し、交流を促す様々な取組を展開してきました。そして更に幅広い層に行動変容をもたらす方策を探るために今年度実施したインタビュー調査の結果、身近な人からの誘いが高齢者の外出誘引に効果的であるということが明らかとなりました。

    このことを踏まえ、来年度は、誘う人と誘われる人の関係性を深め、そこを手掛かりにそれぞれの意欲に寄り添いながら直接生の声で誘い出すという一連の仕組みを整えるとともに、個人のお宅や商店の店先といった民間の場なども活用した多様な集いの場の創出に取り組んでまいります。

    また、市民の念願である「三条市体育文化会館」にあっては、12月から供用を開始し、図書館等複合施設にあっては、基本設計及び実施設計に着手することになります。これら2つの複合施設を中核としたまちなかにおける交流やにぎわいの創出に向け、「まちなかのにぎわい創出円卓会議」においてハード・ソフト両面からの検討を引き続き進めてまいります。

安全・安心な暮らしへの更なる追求

    大阪府北部地震や平成30年7月豪雨など、昨年も大きな災害が頻発し、各地に深刻な被害をもたらしましたが、そうした中にあってこのまちでは、2度の大水害から年月が経過し、当時を知らない世代も多くなってきており、自助、共助の理念の浸透を意識的、継続的に図っていくことは極めて重要であると考えています。

    そこで、垂直避難では安全が確保できない地区の方々の避難行動等をより適切にサポートするためにこの度改訂した「豪雨災害対応ガイドブック」に関する説明を始め、各種災害への備えや適切な対応の重要性などを伝える研修や講演を全市で継続的に実施してまいります。

    また、大面川の氾濫対策として調整池の整備に向けた地質調査と基本設計に取り組むとともに、出水期に頻発する市内各所の浸水被害の軽減を図っていくため、西本成寺地内における雨水貯留施設の整備三竹地内における排水路改良工事に引き続き取り組んでまいります。

    他方、県央基幹病院の開院に向け、都市計画道路下須頃上須頃線の新設及び拡幅に引き続き取り組むとともに、三条市民はもとより医療圏の住民にとっての命の道ともいえる国道403号三条北バイパスの一部区間及び国道289号八十里越区間の速やかな整備を国や県に対して要望してまいります。

全ての人々の尊厳の確保

    誰もが幸せを感じられるまちとなるためには、互いの違いを認め、個々の意思を尊重し、共に支え合いながら暮らす環境づくりを進めていくことが必要です。

    来年度は、障がいのある方が日中活動等を行う新たな施設の整備を支援するとともに、談支援体制を充実させるため、嵐南・栄地域に相談支援事業所を増設するほか、より自立した生活を営めるよう、企業から切り出した業務を行う「チャレンジドオフィス」への支援を始めとした一般就労の促進を図る取組を進めてまいります。

    また、ひきこもりの状態にある方々などに対しては、外出意欲を喚起し自己肯定感をもたらす活動の場を整えることでその社会復帰を後押しする体制を更に充実させてまいります。

    他方、加齢等により介護や支援が必要となっても、多くの方が住み慣れた場所で過ごしたいと考えています。こうした思いに応える地域包括ケアシステムの機能を最大限に高めるため、「三条市地域包括ケア総合推進センター」を開設し、三条市医師会等と連携しながら現場の実情を踏まえた適切な支援体制の構築を進めてまいります。

    加えて、要支援者に対する無料歯科検診や介護職員のスキル向上に向けた歯科衛生士による実地指導などの口腔ケア事業によって介護予防・重度化防止等を図るとともに、医療費や介護費用の縮減に取り組んでまいります。

処方箋その2 人を去らせず、来たる人を追い求め、歓迎する〜人口流出を抑制し、人口の復元力を高めることで社会動態を改善〜

若年層の転出抑制

    このまちの若者に高校卒業後の新たな選択肢を示すためにこれまで進めてきた2つの取組は、それぞれ新たなステージへと移行しました。

    創造性豊かなテクノロジストを育成していく上での基本理念と名称を定めた「三条技能創造大学」にあっては、10月の大学設置認可申請に向け、教員の確保や教育課程の作成等に取り組みつつ、高校生や保護者、進路指導担当者に対する周知を徹底し、入学生の確保を図っていくほか、大学の特長である産学連携実習を安定的に実施していくため、その趣旨を御理解いただきながら協力企業の開拓を引き続き進めてまいります。

    また、いよいよ本年1月に施設建設に着手した医療系高等教育機関にあっては、着実な施設整備はもちろんのこと、教員や学生の確保を始めとする運営事業者の諸般の準備等に全面的に協力し、来年4月の開校を万全の形で迎えることができるよう取り組んでまいります。

若年層の転入促進

    「燕三条 工場の祭典」を始めとしたものづくりの魅力を伝える取組は、多くの人々の心を捉え、ついに今年度は職人を志し、遠くフランスからこの地に移り住む方も現れるなど、改めてこのまちのものづくりが持つ規格外の訴求力を実感させられました。

    しかし、このまちの素晴らしさはそれだけではありません。優れた教育環境や多彩な就労の場など、当地の様々な魅力を磨き上げ、適切に発信していくことによって更に多くの方々を惹きつけることができると考えています。

    中でも下田地域は、四季折々の趣を見せる大自然を始めとしたかけがえのない資源が数多く存在しているにもかかわらず、人口動態の面では、依然として全ての世代で転出超過が続いており、このエリアが持つ可能性の具現化に注力していくことが重要です。

    そこで、懐古的でありながら、今日的で個性的な暮らしを営める地域として広く提案することにより、そこに価値を見出す若者を呼び込んでいくため、当地域の様々な資源を、それらと親和性が高い、地域固有の生活や伝統文化、自然などを尊重する「チッタスロー」の世界観に沿ってまとめ上げてまいります。

    具体的に来年度は、「2019スカイランナー・ワールドシリーズ」開幕戦を始めとする大自然を生かした各種のスポーツ競技会を開催するとともに、優雅で洗練された趣味というイメージの強いフライフィッシングのイベントなどを実施していくほか、有機農業や放牧畜産を推進し、自然と調和した地域を象徴する取組として効果的に発信してまいります。

    また、日本人旅行者はもとより、近年爆発的に増加している外国人旅行者の受入れ拡大は、様々な分野に新たな需要を生み出し、移住に欠かせない就労の場を多様化させていく可能性を秘めています。

    これまで大きな成果を上げてきた産業観光に加え、カヌーやラフティングといった当地の特長を生かしたアウトドア・アクティビティを満喫できる体験型観光の充実に取り組むことで、交流人口の増加が更なる事業と雇用の拡大を生むという流れを作り出してまいります。

処方箋その3 人口減少社会、少子高齢化社会と共存する道を歩む〜高度成長期以来の価値観の転換を図ることで「持続可能」という最強の武器をこの手に〜

「高齢者」概念の転換

    人生100年時代すら構想される今日、高齢者の活躍なくしてはまちの活力を維持し続けることは困難です。

    これまで「セカンドライフ応援ステーション」や有償ボランティアなどの取組によって、高齢者の活躍の場は徐々に広がっていますが、更にその場を拡大していくため、地域におけるイベントの運営補助や一人暮らし高齢者世帯等の見守り、安否確認といった生活支援分野における活動などを充実させつつ、いまだ顕在化していない需要の掘り起しに努めてまいります。

    さらに、高齢者の就業促進に向けて先ほど申し上げた求人情報発信ウェブサイトの活用を進めるとともに、シルバー元気プロジェクトに関係機関との意見交換や取組の検討の場を設けることなどによって、就労意欲の旺盛な高齢者と慢性的な人手不足にある地元企業とを結び付けてまいります。

「社会インフラ」概念の転換

    地域の実情を熟知している地元の建設業者に十分な仕事量を供給していくため平成29年度に嵐北地域の一部に導入した包括的維持管理業務委託は、受託者のきめ細かな対応によって社会インフラの効率的、安定的な維持管理のみならず市民満足度の向上にも大きく寄与しています。

    来年度は、これまでの取組の検証結果を踏まえ、委託期間の延長や橋梁点検といった対象業務の拡大など、必要な見直しを行った上で嵐北地域全域及び下田地域に対象エリアを拡大してまいります。

    他方、既にあるものを賢く使い続けるという社会インフラに対する概念の転換を具現化したともいえる今年度の「ミズベリング三条」の取組は、かわまち交流拠点施設を多くの人々が思い思いの交流を楽しむ魅力的な空間へと生まれ変わらせつつあります。

    このように既存の社会インフラを時代や市民のニーズに合ったものへと見直し、今日的な価値を高めていく取組の一環として、来年度は三条市体育文化会館と図書館等複合施設の間に位置し、まちなかを面的につなぐ拠点のひとつとなるポテンシャルを秘めた八幡公園の刷新に取り組んでまいります。

    また、まちなかに限らず、誰の居場所にもなることができる公園は、にぎわいや交流の核となり得ます。これまでも公園の計画的な整備に力を入れてきたところですが、来年度は、トリムの森や中浦ヒメサユリ森林公園を周囲の自然環境等を最大限生かしながらリニューアルするなど、引き続き利用者の目線に立った整備に取り組んでまいります。

「一極集中」思考の転換

    それぞれの地域の魅力を生かした多極分散型社会を堅持することを通し、このまちを無二の存在たらしめていくため、引き続き各々の優位性を高め、さらに新たな価値を付与していく取組を進めてまいります。

    まちなかにおいては、ハードとソフト両面からの取組により地区内に存在する様々な場と場を有機的に結び付け、にぎわいの面展開を図っていくことを通し、かつてこの地区が有していた多くの人々が行き交う交流拠点としての機能の再生に取り組んでまいります。

    須頃地区においては、医療系高等教育機関及び三条技能創造大学の建設工事を着実に進めるとともに、今後県央基幹病院を含む広域的、基幹的な都市機能が集積されていくことを念頭に、アクセス道路等、民間投資を呼び込みやすくするための周辺環境の整備を推進してまいります。

    保内地区においては、重要な交流拠点としてより象徴的な存在になれるよう、必要な環境整備を面的に展開していくとともに、その特色や魅力を効果的に発信することなどを通じた造園業の持続可能性の獲得につながる新たなビジネスモデルの確立に取り組んでまいります。

    栄地域においては、ものづくりの重心地区としての、そして住環境に優れた地区としての優位性を確立するため、工業流通団地の整備及び分譲を進出企業のニーズ等を踏まえながら着実に進めていくとともに、住宅地として造成する「帯織街苑」の早期の完売に向け、情報発信、販売促進に努めていくほか、周辺の交通に支障が出ないよう国道8号の4車線化を引き続き国に要望してまいります。

    下田地域においては、自然と調和した農業やアウトドア・アクティビティの取組などを展開し、それら当地域の各種資源をチッタスローの世界観になぞらえたものへと構成していくとともに、暮らしの基盤である地縁型コミュニティの維持、存続に向け、地域おこし協力隊などによる各集落での活動やソーシャルビジネスの立ち上げにノウハウを有する民間と連携した地域おこし起業家等育成・誘致事業を通じて地域課題の把握、解決に取り組んでまいります。

平成31年度予算案の概要

    当市においては、市町村合併後最大規模となった約14億円という昨年度の除雪経費や小中学校への空調設備の整備費など、想定外の財政負担が生じたものの、中長期的な財政見通しを基に歳入歳出のバランスがとれた財政運営を進めてきたことにより、財政の健全性を確保してまいりました。

    平成31年度の当初予算編成に当たっては、これまでと同様に健全財政を堅持することを基本とし、中長期的な財政見通しを立てた中で、財政調整基金残高20億円程度を確保し続け、実質公債費比率は18パーセント未満を維持する、という当市における財政規律を遵守しながら、三条市が魅力あふれる持続可能なまちとして発展していくために、総合計画に掲げた施策に係る経費などを確実に予算化したところであります。

    来年度の一般会計予算案は、三条市体育文化会館、三条技能創造大学、医療系高等教育機関及び新最終処分場の施設整備事業の進捗等に伴い、投資的経費が約54億7,000万円増加し、総額530億3,800万円、対前年度比では66億4,800万円、14.3パーセントの増となりました。

    主要な財政指標につきましては、今年度決算見込みと比較して、経常収支比率は0.6ポイント高い96.7パーセントに、実質公債費比率についても0.2ポイント高い15.5パーセントと見込んでおります。

    また、財政調整基金残高は、約16億円減少し、約50億円と見込んでおります。

    いずれの指標も悪化しているものの、中長期的な財政見通しにおいて想定している範囲内で推移しており、引き続き、適切に財政をコントロールしながら、健全財政を維持してまいります。

    国民健康保険事業特別会計予算案は、総額を85億9,200万円としました。平成31年度の国保税率については、今後の財政状況をシミュレーションした結果、据置きとします。安定的な運営を図るためにも、引き続き、特定健康診査の受診の促進に努めるとともに、生活習慣病の発症予防及び重症化予防に重点を置いた保健事業に取り組み、更なる医療費の適正化を進めてまいります。

    後期高齢者医療特別会計予算案は、総額を11億380万円とし、本制度の適正な運営を図るため、広域連合と連携し、健診事業の促進に努めてまいります。

    介護保険事業特別会計予算案は、総額を97億1,230万円としました。高齢者福祉計画・第7期介護保険事業計画に基づき、高齢者がいつまでも健康で安心して暮らせるよう、適正な介護サービスの提供と認知症への支援や介護予防などの地域支援事業の充実に努めてまいります。また、保険者として事業者及び従事者の更なる質の高いサービス提供に向けた意欲の向上を図るため、自立支援・重度化防止に資する介護サービスの提供により成果を上げた事業者に対する褒賞制度を創設してまいります。

    農業集落排水事業特別会計予算案は、総額を7億6,380万円とし、接続率の向上を図るとともに、今後の利用状況を踏まえ、適切な施設の維持管理に努めてまいります。

    公共下水道事業特別会計予算案は、総額を30億4,710万円とし、農業集落排水事業同様に接続率の向上を図るとともに、雨水整備については、豪雨発生状況を踏まえ、引き続き浸水リスクの軽減に向けた対策に取り組んでまいります。

    水道事業会計予算案は、収益的支出を20億1,208万1千円、資本的支出を8億8,321万4千円とし、経年管の計画的な更新を図るなど、管路の耐震性の強化や漏水防止対策を進めながら、良質な水道水の安定供給と経営の効率化に努めてまいります。

    次に、これまで申し上げてきたもののほか、来年度の主な事業について説明を申し上げます。

総務・文教関連施策

    まず、総務・文教関連施策であります。

    2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会を翌年に控え、来年度は、出場が期待される三条市の選手を市民を挙げて応援する体制を整えていくことはもちろんのこと、コソボ共和国のホストタウンとして交流事業等を実施し、お互いの理解と友好の促進を図るとともに、大会本番に向け、同国選手団を心を込めてお迎えするための準備を進めてまいります。

    防災対策については、いざという事態に際し、災害対策本部が置かれる三条庁舎の耐震性を確保するため、補強工事に係る実施設計を行っていくほか、今年度から体制を整えた異常降雪時の消防団による除雪対応等に必要な機材の充実を図ってまいります。

    教育・子育て環境の充実については、本年10月から全国で実施が予定されている幼児教育・保育の無償化に向けて万全の体制を整えてまいります。

    また、地域の実情を踏まえた一体感のある学園運営を目指し、これまで三条おおじま学園及びさかえ学園で地域の方と共に進めてきたコミュニティ・スクールの取組を新たに四つ葉学園及びしただの郷学園に導入してまいります。

    あわせて、社会環境等の変化に伴い、子どもが身体を動かして遊ぶ機会が減少していることを踏まえ、自然の中での体験活動や日常的な保育における屋外活動の積極的な実施等により、健やかな成長に欠かすことのできない幼児期における運動機会の確保に取り組んでまいります。

    さらに、子どもの発育に悪い影響を及ぼしかねないむし歯をより効果的に予防していくため、現在小学校でのみ実施しているフッ化物洗口を保育所・幼稚園等に拡大し実施してまいります。

    加えて、子育てに係る経済的負担を軽減するため、中学生の通院に係る子ども医療費助成の所得制限を廃止し、対象者を全ての中学生にまで拡大してまいります。

    そのほか、下田地域の保育所等の給食において自然の力を最大限に生かして育てた有機米を提供する取組を進めてまいります。

    他方、外国人労働者の増加等に伴い、その子どもが市内の学校に就学する事例も増えています。こうした現状において外国人児童生徒の適切な教育機会を確保していくため、日本語指導や学校生活の支援などを行う外国人・帰国子女支援員を配置してまいります。

市民・福祉関連施策

    次に、市民・福祉関連施策についてであります。

    今や国内最大規模となった「諸橋轍次博士記念漢詩大会」及び今年度初めて実施した「諸橋轍次記念漢字文化理解力検定」については、博士の偉業を後世に伝えていく場として、また我が国の貴重な財産である漢字文化に光を当てる場として一層の魅力向上に取り組んでまいります。

    また、歴史の道八十里越の国指定史跡への指定を目指し、引き続き測量及び発掘調査を実施するとともに、史跡の活用に向けた整備計画の策定に取り組んでまいります。

    移住の促進については、三条ファンクラブの会員などを対象に交流イベントを開催するほか、移住後の具体的な生活をイメージするためのお試し居住を引き続き実施するとともに、不安や悩みの受け皿として「(仮称)移住者交流サークル」を新たに立ち上げてまいります。

    国際交流については、本年度御議決をいただいた中華人民共和国重慶市巴南区との友好都市提携に調印し、相互の理解と友好の促進、経済面での連携などを図っていくほか、湖北省鄂州市との友好都市提携から25周年という節目も捉え、両都市への訪問事業を実施してまいります。

    地域の方々の御理解と御協力の下で進めている新最終処分場の建設については、来年4月の供用に向けて造成工事、本体工事等を着実に進めていくほか、近隣の方が気軽に集える憩いの広場の整備について検討を進めてまいります。

    健康寿命の延伸については、加齢とともに活力が低下し、心身の脆弱性が現れた人を早期に発見するため、イベントや集いの場等においてフレイルチェックを実施し、その結果を基に適切に介入していくことで要介護状態への進行抑制を図ってまいります。

    公営住宅については、施設の老朽化に対応するため、昨年管理戸数の適正化と施設の安全性の確保を目的に見直した三条市営住宅長寿命化計画に基づき、市営南四日町住宅の耐震改修に着手するとともに、計画的な予防保全に努めてまいります。

    医療・保健衛生の取組については、下田地域の新たな診療所の7月の開業に向けて施設工事や医療機器等の整備などを進めていくほか、全国的に感染の拡大が問題となっている風しんの予防対策として、抗体保有率の低い世代の男性を対象に、抗体検査やワクチン接種を実施してまいります。

    他方、本年は、名誉市民ジャイアント馬場氏の没後20年の節目の年であることから、幅広い市民の皆様からの御協力の下、国民に夢と希望を与え続けたその功績を後世に伝える顕彰事業を実施してまいります。

経済・建設関連施策

    最後に、経済・建設関連施策についてであります。

    産業振興については、地域に経済的波及効果を及ぼす市内中核企業の地域未来投資促進法に基づく支援の活用拡大を図っていくとともに、海外展開支援として、JICA事業の支援の下、ベトナムで現地の需要に沿ったブランドの企画、生産、販売などに取り組む市内企業の販売拠点の整備等を支援し、またJETROの支援を受けながらこれまで取り組んできた台湾での販路開拓に向け、調査事業等を実施していくほか、その他の国々への進出、販路開拓についてもその双方を視野に入れて取組を展開してまいります。

    さらに、一定の成熟期に入ったともいえる「燕三条 工場の祭典」については、その世界観に価値を見出している方々の興味、関心をこれまで以上に深く掘り下げ、コンテンツや情報提供の個別化を進めることによってプレミアム感の醸成、更なる満足度の向上に努めてまいります。

    加えて、インバウンド戦略として、我が国への旅行者全体に占める割合の高い台湾と中国にターゲットを絞り、台湾にあっては、旅行先の選択行動に大きな影響を及ぼしている現地メディア等を対象としたファムトリップを、また中国にあっては、近年富裕層で関心が高まっている伝統文化等の体験と健康診断を組み合わせたツアーを実施するなど、それぞれの実情を踏まえた集客に取り組んでまいります。

    農業の振興については、農産物の品質向上や競争力の強化、販路の開拓等につながるGAP認証の取得を新たに支援するほか、先進農業者の下で栽培技術等を学ぶ青年就農者育成等支援事業の間口をより広げるため、派遣研修先を県内農業者にも拡大してまいります。

    他方、社会インフラの適正な維持管理はもとより災害時において重要な役割を担う地元建設事業者の安定的な経営を支えるため、建設機械の運転等に係る資格取得を引き続き支援するとともに、今後の建設需要等を見据え、建設技術者の育成策や若年世代の取り込みなど、必要な対策の検討を進めてまいります。

おわりに

    以上、来年度の施政方針について申し上げました。

    間近に迫った画期を経て、いつの日かこの「平成」を振り返ったとき、多くの人々が「あの頃は良かった」と感じるような時代ではなく、多少の郷愁を感じながらも前を向いて力強く更に未来を切り拓いていこうと自然に思うことのできる時代を市民の皆様と共に築き上げてまいりたいと切に願っております。

    何とぞ議会の皆様の御理解と御協力をいただき、御決定を賜りますようお願い申し上げます。

この記事に関するお問合せ
総務部 政策推進課 政策推進係

〒955-8686 新潟県三条市旭町2-3-1
電話 : 0256-34-5520 (直通) ファクス : 0256-34-7933
メールでのお問い合わせはこちら

更新日:2019年03月04日